立派な骨

うちの祖父はとても厳しい人でした。
数年前、喉頭ガンで亡くなってしまいましたが。
最後の方ははすっかりボケてしまったようで、病院にお見舞いにいっても私のことがわからないようでした。

一緒に暮らしていた祖父は父方のおじいちゃんでしたが、父とは全然似ていませんでした。
祖父は剣道の師範をしており、厳格な性格でした。
一方、父は穏やかで優しい性格をしていました。
祖父は長く剣道をしており、小学校の剣道部で指導員をしていました。
体は丈夫で、結構歳がいってからも続けていました。
私も祖父の稽古を受けたことがあります。
気分がのってくると決まって戦争の話をしてくれました。
当時、私はまだ小さかったのでよくわかりませんでしたが、昔を懐かしむように話をする祖父が好きでした。
他の家族は、「また始まった・・・」という顔をしていましたが。
実家は自営業をしていましたが、祖父はずっと母や祖母と一緒に働いていました。
紺色のエプロンをして調理場に立つ祖父の後ろ姿が目に焼き付いています。
見かけによらず、エプロンがよく似合っていました。
一度、バレンタインデーにチョコレートを手作りして祖父にあげたことがあります。
冷凍庫でカッチカチに凍ったチョコレートでしたが、「固くて歯が折れそう。でもありがとう」と言ってくれました。
厳しいけれど本当は優しい人でした。
亡くなった時、火葬場で職員の人が言っていました。
「骨がすごくしっかりしています。この歳でこんな立派な骨はなかなかないですよ」
そう言われた時、なぜだかわかりませんが、祖父は良い人生を過ごしたんだな・・・としみじみ思いました。

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