マンションのお隣さん

今住んでいるマンションは、基本的には単身者ばかりが住むタイプのマンションだ。
6階建てで、ほとんどが1DKタイプ。
ベランダ部分を外から見上げてみると、最上階の部屋だけ大きめの間取りになっているように見えるが、どうやらオーナーが住んでいるそうだ。

元々、一軒家が建ち並び、バブル期に新興住宅地として売り出されたような土地柄、あまり単身者が多くはない場所だ。
一人暮らしだと、かなり広々と暮らせるだろう。
うちは二人暮らしだが、ちょうど良いサイズだ。
一年半前に越してきた日、私は出張が重なってしまい福岡にいなかった。

帰ってきたときには荷物の運び入れが終わっていた頃だった。
夜八時くらいということもあって、挨拶はまた明日ということになった。
しかし、結局はお隣さんへの挨拶はしないまま時間が過ぎてしまったのだ。
角部屋ということもあり、お隣さんは一部屋なので、挨拶もすぐ終わるのに、なんとなく挨拶をしなかった。

マンションのほとんどが20代から30代らしく、日中はほとんど誰もいない状態。
だから夕方以降は帰宅時間が重なるために顔を合わせることがある。
もちろん朝の出勤時間帯も顔を合わせるが、皆バタバタしているので挨拶もそこそこに、という状態だ。

そんな状態なので、近所づきあいというのも皆無だった。
ところが、やっぱり挨拶はしておくべきだったなということが起きた。
夜21時くらいに帰宅したとき、同じ階からエレベーターが下りてきたと思ったら、家具を運び出していた。

こんばんはと挨拶をして、引越ですかと声をかけるとご迷惑をおかけします、と言っていた。
それがお隣の女性だったのだ。
駐車場で一度会ったことがあったきりだったが、ほとんど会話ないまま引越をしていったのだった。
とても感じのよい女性だったので、挨拶しておけばよかったな、と思った。

«